不眠症

本来不眠症は精神科領域の疾患です。精神科にかかっているのに眠れない、一睡もできないと訴えられます。お出でになる患者さんを追い返すこともできず不眠症治療に取り組んでいます。

 

私の睡眠外来は不眠症と日中の眠気過眠症の2種類の患者さんがお出でになります。この2つは全く違う病気で重度の不眠症を訴えても日中まったく眠気のない人もおられるからです。
私の外来で多いのは睡眠不摂生による原因のある過眠症です。一方で原因不明の過眠症があります。

過眠症については過眠症の頁を参照ください。

 

最も多いのは精神性理性不眠PPI

今夜は眠れるだろうか、眠れなかったらどうしよう、、と睡眠への強いこだわりを持つ人が多いです。不眠のために心と体の活力が低下し日常生活に支障を来す場合があります。睡眠は明日への活力、生活の要ですから不眠の原因の解消に努めて下さい。

 

不眠の原因を解消

まずは生活指導

 

日本は世界で一番睡眠時間の短い国

 

あなたは朝型か夜型か、睡眠のタイプ(クロノタイプ)を調べてみよう。

クロノタイプは遺伝性です。

質問票は ⇒こちら

 

質問票の合計得点数から明らかな夜型明らかな朝型の区別ができます。クロノタイプは遺伝によって決まっていますのでこの両者の是正は困難です。ライフスタイルを合わせていく必要があります。明らかな夜型の人が夜10時前に寝ようと思っても無理があります。

その他の適度な夜型、適度な朝型は是正が可能です。

不眠症と睡眠不足

世界の平均睡眠時間は8時間25分、日本は7時間22分、、毎日の睡眠負債は40分と言われています。睡眠負債を背負った上に睡眠障害に陥ったらどうなるか、、⇒負債の多い会社が倒産するように人は仕事ができなくなります。

最近の研究から、、骨から睡眠に関するメッセージ物質(ホルモン)が出ていることがわかりました。

骨を健康にするのは重力効果です。

重力効果を得るためには大地を蹴るウォーキング、ジョギングなどはとても有効です。

 

・早寝、早起き型に切り替えましょう。
・気分転換を図り、ストレス解消に努めましょう。
・適度な運動 30~60分のウォーキングをして、骨と筋肉の健康を保ちましょう。
・寝る3時間前にしてはいけなことは守りましょう。
  スマホ携帯、テレビ、ゲーム、タブレット
  アルコール、タバコ、コーヒー、熱いお風呂など

 

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消灯3時間以内にしてはいけないこと.pdf
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私の処方箋

睡眠薬を嫌わない怖がらない

不眠は不安心配という心の痛みが原因です。
不安を鎮めるのはGABAというホルモンです。このGABAを増やすのが抗不安性睡眠薬です。強力な抗不安性睡眠薬として有名なのは、高力価、短時間作用型のエチゾラム(デパス)です。依存性、習慣性が強く、一度飲み始めると減量、断薬の難しいのが特徴です。ブロチゾラム(レンドルミン)も高力価、短時間作用型、習慣依存性がありほとんど使用しません。

 

比較的安全なのは低力価、短時間作用型のクロチアゼパム(リーゼ)です。

私は抗不安作用の強い三環系抗うつ薬ノリトリプチリンを少量と、気分安定薬、気分調整薬として有名な抗てんかん薬バルプロ酸、クロナゼパム、抗不安作用の強い非定型抗精神病薬リスペリドン、アリピプラゾールを少量、ケースバイケースによって追加します。その他、抗ヒスタミン薬ぺリアクチン散を少量追加することもあります。
⇒これらの薬は一日一回夜だけ内服していただいています。一般の睡眠薬とかけ離れた抗うつ薬、抗てんかん薬ですから、驚かれる方もおられます。しかし詳しく薬理薬効について説明し、納得して内服頂いております。

      

粉なので楽に自分に合った量の調整が可能です。

本人が主治医になって適量を探すことができます。

魔法の粉薬と呼ぶ人もいます。

 

 

睡眠薬の種類

・ベンゾジアゼピン系(ハルシオン、デパス、レンドルミンなど)
効果が強く、即効性がある反面、習慣性、依存性が起きやすく、断薬すると反跳性不眠などの副作用はあります。処方しやすいため、使われやすい薬です。
・非ベンゾジアゼピン系(マイスリー、アモバン)
比較的短時間作用型が多い。ベンゾジアゼピン系に比して、耐性、依存性は少なめですが時間と共に生じます。転倒、健忘、幻視幻聴、悪夢、睡眠関連摂食障害SREDなどの副作用報告があります。

・メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)
とても素晴らしいお薬ですが、作用が弱く、不眠に苦しむ人には不人気です。
・オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)
効く人には効きますが、効く、効かない、評価が二分する薬です。
・GABA受容体拮抗薬(ルネスタ)
作用は穏やか、気分を落ち着かせ睡眠に導く作用があります。副作用も少なく使いやすい薬ですが難治性不眠には不向きです。

 

睡眠薬には副作用があります。

副作用で多いのはふらつきです。高齢者では転倒事故の報告が結構ありますので用量には注意が必要です。

 

睡眠薬を飲むタイミング

内服後は意外と早く薬の血中濃度は上昇します。概ね内服後30分で効果を発揮し始めますので、眠る準備が出来て、ベットに入る前に内服されるのがよろしいです。

 

睡眠薬の依存性を過剰に心配したり、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の認知障害のリスクや薬の量にこだわることは、かえってマイナス効果です。がんの治療中で大きな不安がある、人間関係、仕事で大きなストレスがある、こういった時には適切な薬物治療が必要です。むしろ、不眠を治療せず放置するほうが問題です。
睡眠薬に対する不安は根強いものがあります、、、信頼できる医師に相談しながら、自分にあった薬を選んでもらうことが大切です。そして、薬を止める時も主治医と相談し、時間をかけながら徐々に減薬し、休薬にもっていくことも大切です。

 

減薬・離脱にひと工夫

サイレースという最強の睡眠薬があります。私が昔麻酔をしていたとき麻酔導入剤に使っていました。2mgの静注で簡単に深い睡眠に入ります。この最強の睡眠薬サイレース2mg錠を飲んでいる患者さんに出会うことがあります。驚くのはサイレース2mg錠を処方する医者がこの世にいるということです。離脱には根気が要ります。徐々に減薬する過程でまず1mg錠に変更、そして半錠、最終的には1㎎錠の4分の1量とします。サイレース1mg4分の1錠にこつぶっちゃんという愛称を付けました。