睡眠時随伴症とは、睡眠中に起こる異常な行動のことです。パラソムニアとも言います。
睡眠時随伴症にはレム睡眠時随伴症とノンレム睡眠時随伴症の2種類があります。
・レム睡眠時随伴症 RBD
レム睡眠時に起きる症状です。好発年齢は中高年の大人です。
レム睡眠行動障害とも言います。レム睡眠中に見た夢に伴って、筋肉が覚醒状態になり、身体が夢と一緒に反応し、行動します。睡眠中に大声でわめいたり、腕を振り回したり、足で蹴ったり、突然歩き出したり、隣で寝ているパートナーに迷惑をかけたり、自分自身も怪我をする場合があります。明け方の3~5時頃に起こりやすい特徴があります。
レム睡眠行動障害は、将来的にレビー小体の沈着する病気、例えばレビー小体型認知症やパーキンソン病へつながっていく場合があります。私は、60歳以上の男性の場合は、本人に対し、将来的にレビー小体病になるリスクがあることを伝えています。
治療
抗てんかん薬バルプロ酸、クロナゼパムにより、8割の方の症状が緩和します。その他、ドーパミンを増やすパーキンソン治療薬ドーパミンアゴニスト、メラトニンが有効なことがあります。
・ノンレム睡眠時随伴症
ノンレム睡眠から目を覚ます覚醒時に起きやすい症状です。好発年齢は5~12歳の小児です。夢遊病、寝ぼけ。夜驚症、夜尿症などがあります。多くは成長するにつれて、自然治癒します。成人に多く発症するのは睡眠関連摂食障害SREDです。
睡眠関連摂食障害 SRED
この病気はストレス過の20~30代女性に多く、入眠1時間くらい経ったノンレム睡眠時に無意識に冷蔵庫を開けて食べ物を探して食べたり料理を作って食べたりします。夜間に高カロリー食を摂取するため約半数の患者さんは肥満します。外傷(約30%)や火事を起こす危険性があります。ストレス過の女性が多いため気分障害や不安障害を合併していることもあり、多剤内服の方が多いです。そのため薬剤性SREDに注意が必要です。薬剤としてはトリアゾラム(ハルシオン)、ゾルピデム(マイスリー)またアミトリプチリン(トリプタノール)、リスペリドン(リスパダール)などでも見られるという報告があります。
治療
レム睡眠行動障害RBDとほぼ同様の治療を行います。他の医療機関で処方を受けているケースが多いので薬剤間の配慮が必要です。