早寝して、睡眠時間も十分に取っているのに、昼間眠い、居眠りしてしまう症状を「日中過眠症」と言います。学校で居眠りしてしまう子どもの中には、夜、眠っている間に片頭痛を起こして、本人も気づかないうちに、睡眠不足になっている(あるいは、睡眠の質が著しく低下している)場合があります。このような子どもは、片頭痛の治療をすると、夜眠れるようになり、日中の眠気が改善していきます。
国際頭痛分類3β(ICHD-3β)には、4.9「睡眠時頭痛」という項目があります。これは、名前が良く似ていますが、定義としては異なるものです。50歳以上で発症することが多いとされ、症状は緊張型頭痛に近いとされてきましたが、近年では、片頭痛に近い症例も報告されているようです(添付ファイル)。紛らわしいので、子どもに良く見られる夜間の片頭痛を、私は「睡眠片頭痛」と称しています。
睡眠障害国際分類3版ではその他に睡眠関連頭痛があります。
<症例紹介>
起床時頭痛のため、まともに学校に通えなかった15歳 女性
2-3週間前から、毎朝目が覚めると、頭痛がするようになりました。頭痛のため、学校を休んだり、何とか学校に行っても、午前中の授業を受けるのがやっとで、早退することが多くなりました。家にいても、頭痛が完全になくなることはありませんでした。カロナール、ロキソニン、バファリンなどを飲んでも効果ははっきりしないため、近医を受診、明神館クリニック大田先生を紹介してもらいました。
明神館クリニックで、頭痛について、睡眠について、生活習慣について、多くの質問を受けました。大田先生から、「あなたの病名は、先祖(祖父)からもらった片頭痛です。肩こり、フワフワ感、光や音に過敏、運動をすると頭痛が起こるなど、片頭痛の特徴をお持ちです。起床時の頭痛は、睡眠中に頭痛発作を起こし、その痛みが朝まで残っているためです。睡眠中の頭痛発作で、睡眠の質が悪くなり、熟睡できず、寝相が悪くなったり、夜中によく目が覚めることがあります。
受験というストレスも加わり、片頭痛を悪化させたものと思います。片頭痛をもっている人は、早寝し、十分な睡眠時間をとる必要があります。22時になったらスマホはお父さんに預けて、今よりもう30分早く寝ましょう。そうすれば、成績も上昇すると思いますよ。少量の粉薬を処方します。夜20時までに内服してみて下さい。」と言われました。
粉薬を飲み出して、頭痛が軽くなり、学校を休むことはなくなりました。1ヶ月後、先生はさらに薬を減量して下さり、引き続き早寝に取り組んで、生活習慣を正すことが一番大切であることをお話ししていただきました。