Dr.Kosuke コラム ”人騒がせな高齢者の失神”

70歳過ぎの高齢者、なぜか男性に多い。年に1~2回突然前触れなく意識を失う短い発作(失神)を起こし、夫婦共々心配して受診されます。老人てんかん、一過性脳虚血発作を疑い検査をするのですが、異常の見つからない場合があります。苦肉の策として、カルテ病名は一過性脳虚血発作とします。しかし、この病気は脳幹に血流を送る太い動脈である脳底動脈の還流圧が一過性に極端に低下した場合など限られた病態でしか起きない症状です。統計的に調べてみると、高齢者の失神の3割が原因不明だそうです。あくまでも今の検査では分からないというだけで、原因不明とは患者さんにとっては迷惑な話です。一方、夜間救急にとって迷惑な話は、脳卒中3%、不整脈3%、急性冠症候群2%、一過性脳虚血発作2%で、残りは原因不明とのデータもあり、これではなんと90%が原因不明となります。相変わらず分からないことが多い世の中です。対策は救急外来で検査しない24~48時間心電図(ホルター心電図)くらいのようです。